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まずは内科など身体科を受診し、一通りの検査を受けて、身体面での異常が見られない場合、ストレスの影響やこころの病気の可能性が考えられます。こころの病気の場合でも、心理面よりも疲労感のほうに、より苦痛を感じることもあるでしょう。あるいは疲れているから、気分が優れないと自己判断してしまいがちです。自己判断せずに、受診することが大切です。
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突然胸がドキドキする、めまいを感じるという場合、まずは内科や循環器内科、耳鼻科などの身体科を受診し、もし検査を行っても異常が見つからないときには、ストレスの影響やこころの問題が考えられます。「少しストレスがたまっているだけだ」と放っておかず、早めにご相談ください。
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安心できない状況にある時、脳が疲れていない時、身体と脳が夜の状態になっていない時に、よく眠れない状態となることがあります。ベッドに入っても眠れないために日中の調子が悪いと感じたら、まずどのように眠れないのかをチェックしてみましょう。「寝つきが悪くて困っているのか」、「夜中に目が覚めて困っているのか」、「朝早く目覚めて困っているのか」、「睡眠が全体に浅い感じで疲れがとれないため困っているのか」を考えてみましょう。次に、何かきっかけがあって眠れなくなったのかを考えてみましょう。精神的なストレスになることが解決されないでいると、寝つき際に頭がさえてしまい、寝つけなくなります。しっかりと眠たくなってから床に就くことや、休みの日も規則正しく起床し、寝床で過ごす時間を7時間以内にすることがすすめられます。工夫をしてもなかなか改善しない場合には、受診し相談することも大切です。
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食事がすすまない症状は、「食べたい気持ちはあるけれども食べられない」という状態やとくに「食べたい気持ちが起こらない」という状態となることです。とくに「食べたい気持ち(体やこころの欲求)があまりない」場合を「食欲低下」「食欲減退」「食欲不振」「食思不振」などといいます。数日以上にわたり「食事がすすまない」症状が続く場合は、何らかの病気によるものである可能性が高くなります。体のあらゆる部位の病気によって、食事がすすまない症状になることがあるので、まずはかかりつけ医や内科を受診することが大切です。心理的なストレスが長く続いたり、葛藤が解決されないままでいたりすると、心身症としてほかの体のいろいろな症状とともに現れてくることもあります。食事が進まない以外に気持ちの落ち込みなどのこころの症状がある場合には、こころの問題の可能性があります。
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「気分が沈む」「気分が重い」「憂うつだ」などと訴えられる症状を、精神医学では抑うつ気分と呼んでいます。「何をするのにも元気がない」というのは意欲が低下していると考えられ、「気分が沈んで、何をするのにも元気がない状態」は、うつ状態といわれます。うつ状態というと環境のストレスを考えがちですが、体の病気や薬が原因だったり、ストレスに対する対応を考えるよりも抗うつ薬による治療を優先させたほうがよかったりするようなうつ病もあります。まずは相談するが大切です。身近にいる人が「うつ状態」にあると感じられた場合には、受診を勧めてよいと思います。かかりつけ医を受診し紹介してもらうのも一つの方法です。
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「気持ちが落ち着かない」「どきどきして心細い」といった症状は、「不安」や「緊張」といわれるもので、誰でも感じる感情の一種です。問題は、理由がないのに「落ち着かない」「どきどきして心細い」などの症状が起こる場合です。この場合は「病的な不安」である可能性が考えられます。不安は身体症状を伴っていて、「どきどきする」(動悸)「胸がしめつけられる」「息が苦しい」「冷汗が出る」「体が震える」「ふらふらする(めまい感)」「手足のしびれ」「脱力感」「頻尿」「のどが渇く」「眠れない」「頭痛」など、様々な症状が現れます。
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人がイライラしたり、怒りっぽくなったりするのは、何らかのストレスを抱えていて、しかもストレスがなかなか解消しなかったり、自分がそのようなストレスを抱えなければならない理由について納得できなかったりすることが原因です。最近、アルコールの量が増えている人や、自分ではまったく問題ないと思っているのに、周囲の複数の人から受診をすすめられている人は、一度、医師の意見を聞くだけでも結構ですから、受診することをお勧めします。医師にあなたがこころの病気にかかっていないか確認してもらうだけでも、周囲の人々を安心させることができます。
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「周りに誰もいないのに確かに人の声が聞こえてくる」場合には、症状として"幻聴"という名前をつけることができます。聞こえてくるのが声ですから"幻声"と呼ぶこともあります。一般の言葉では"空耳"といったりもします。実際にはない物が見えたり聞こえたりすることを指す症状である"幻覚"の一種です。「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」ということが自分にあてはまりそうだと思ったら、まず大切なのは誰かに相談することです。一人で悩んでいる、つらいのをじっと我慢しているというのが、いちばんよくない対処法です。身近な方からこのような症状の相談を受けられた方は、ご本人は専門家に相談に行くべきかどうか迷いが強かったりします。とるべき行動の整理をつけたり、相談に行ったりすることの後押しをしてあげてください。
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ひきこもりという現象は、義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家の外での仲間との交遊などの社会参加を避けて、一応6カ月をめどに、それ以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態です。環境と自分のこころとの相互作用の中のバランスが崩れた状態が長く続けば、だんだんと不安や緊張が高まったり、精神的な疲労がたまっていったりします。それが一定の水準を超えれば、社会不安障害やパニック障害、あるいはうつ病性障害と呼ばれるこころの病気にかかります。大半のひきこもりはなんらかのこころの病気を背景として、社会活動の場にとどまることができなくなった状態であると考えられます。大切なのは、これらの悩みや苦しみを解決したいと思った時が克服の好機だということです。家族の一員がひきこもりの状態となり、家庭に長期にわたって閉じこもるといった事態は、家族にとってもつらく苦しいものです。あきらめて家族だけで問題を抱え込むのではなく、支援の専門機関へ相談することをお勧めします。また、「誰かと対話したり争ったりしているような独り言をいっている場面をたびたび目にする」「誰かから狙われているとか、カメラで監視されているとか、盗聴されているとかといった非現実的な考えを執拗に訴える」「悪口や脅迫する声などの幻聴を訴える」などの症状が出てきたら、統合失調症等の発症が疑われます。精神科受診を急ぐ必要があります。